ディージーの壷

日本にいるとほとんどペルシャ語を話す機会がないから、たまにイランに帰っても母国語だと言うのに始めのうちはスムーズに話せない。数日過ぎた頃家族に「うまくなってきた」と言われる始末だ。

ある日イランで、つぼ焼きシチュー、「ディージー」を食べに行ったらものすごくおいしかったので　「この店のディージーは今まで食べたなかで最高」とほめたら、気を良くした店主はしばらくするとディージーの壷を抱えて現れた。
「ペルシャ語が実にお上手だ。あなたの国にこのディージーの壷をもち帰って是非ともディージーを広めていただきたい。」
僕を外国人だと思った彼は壷を差し出しこう言った。

そのまま、「素直」にもらってしまったこの壷で日本でディージーを作る度に思い出すのはあの店主の笑顔・・・。