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2008年 04月 18日
電気もないイランの小さな村で2年間小学校の先生をしていた事がある。イランには徴兵制があって、戦争がなければ僻地教育の一貫として小さな村に僕のように教師として赴任する者もいた。始めは30人余りの生徒を一人で見ていたが、そのうちもう一人先生がやってきた。 フシャンという名の彼もまた、僕と同じように都会からやってきた青年だった。ある休日にフシャンが丘を指差してこう言った。「今日、あの丘の向こうをうちのおじさんが通るんだ。」 どういう事かと聞けば、彼のおじさんは遊牧民でちょうど今日そのあたりにやってくるのだという。それならばおじさんに会いに行こうという事になり僕達は丘の上を目指した。 すると遥か彼方に蟻くらいの大きさの羊の群れが見えるではないか。それが少しづつ近づきやがておじさんの姿を確認するとフシャンは「おじさ〜ん!」と叫んで手を振った。民族衣裳に身をまとい手を振り返すおじさんを僕らは丘の上でのんびり待っていた。 やがて2年の兵役も終わり町に戻ったある日、僕はフシャンの家を訪ねた。家族ぐるみで歓迎してもらっていると「そのうちおじさんも来るよ」と彼は言った。しばらくして現れたおじさんはスーツとアタシュケースで決めたどこから見ても都会のビジネスマンに変身していた。僕がただただその変貌ぶりに驚いていると「羊を追っているのは夏だけなんだよ。」と笑った。
by Cafe-persia
| 2008-04-18 21:20
| ペルシャの詩 他
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